婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
レイニーside①
「殿下。ディアナ様がお会いしたいとのことですが、どういたしましょう?」
急な来客の用事をすませて、脱力してしていたところにまた来客か……しかも、ディアナとは。
ほんとうなら、今頃はフローラとお茶したり散歩したり、色々な話題で盛り上がって楽しく過ごしているところだったのに。
帰さなきゃよかったな。
仕事とはいっても急を要するような案件はなく、俺でなくても対処ができるものばかりだったし、そんなことより、何故だか娘の自慢話を聞かされてうんざりしてしまった。
気が滅入っている時こそフローラに会いたいな。あの笑顔に癒されたい。フローラを抱きしめたい。
彼女のふわりと温かい笑顔を思い浮かべて、ほっこりとしていると
「レイニー殿下。入っていただきますが、よろしいでしょうか?」
さっきより強い口調で聞いてくるセバス。俺が返事をしないから焦れたのだろう。
俺はセバスを一瞥して
「ああ」
仕方なく頷いた。