婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「なに?」
俺をジーと見つめる彼女の瞳が好奇の色を湛えてるように見える。
「いえ。ニヤけた顔をしていたから、何を考えていたのかしらって思っただけよ」
「……何も考えていないが……」
小さく咳ばらいをしつつ、緩んでいた顔を引き締め平静を装おう。いつの間にか自分の世界に入り込んでいた。まさか、ローラのことを考えていたなんて、口が裂けても言えない。恥ずかしいじゃないか。
「そう。それにしてもどんな心境の変化なのかしら? モノトーンの部屋からカラフルな部屋に変貌するなんて何かあったの?」
「い、いや。何もないが……」
「……」
無言で見つめないでくれないか。心を探られているようで居心地が悪い。
部屋の変貌はローラが原因だとは言えないし言いたくない。