婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています


「蓮の花。今年もきれいに咲いたのね。いいわよね。あのまっすぐに茎を伸ばして凛として咲く真っ白な花。とてもきれいだわ。いつまでも大事にしたいものね」

「?」

 またここで花の話……で、いったい何が言いたいんだ。

「用事があるから来たんだろう? 俺も忙しいんだ。サッサと要件を済ませて帰ってほしいんだが」

「あら、まあ。余裕のないことね。幼馴染が遊びに来たというのに素っ気ないこと。もう少し、歓迎の気持ちくらい表してほしいわ」

 大きく目を見開いて心外とばかりに、大仰に溜息をつくディアナ。
 先触れもなく勝手に来た挙句に歓迎の意だと。
 溜息をつきたいのは俺の方だ。

 ローラに手紙を書いてゆったりと落ち着きたかったんだが。


< 145 / 835 >

この作品をシェア

pagetop