婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「ああ、嬉しいよ。久しぶりに幼馴染殿に会えて……」
 
「心が籠ってないわね。それに笑顔が足りないわ。せっかくきれいな顔をしているのに、もったいないわよ」

「それは、どうも。忠告ありがとう」

 今、この状況で笑顔になれというのは無理だ。顔が引きつるじゃないか。

「でも……レイニーはそのくらいの方がいいのかもね。あまり愛想がよすぎると大変なことになりかねないかもだし。とびっきりの笑顔は大好きな人に取っておきなさいな」

 大好きな人……その言葉にローラの顔が浮かんでドキッとした。
 
「今、誰かの顔が思い浮かんだでしょう?」

「……」 

 悪戯っ子のように口の端を上げて微笑むディアナを見据える。

 俺の気持ちなどはとっくにお見通しなのだろう。
 
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