婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「結局、何をしに来たんだ?」
今もって要件を言わないってことは、暇つぶしに来たのか、からかいに来たのか……くだらない理由しか思い浮かばない。
「そうねえ。一つ、伝えたいことがあって来たのよ」
伝えたいこと?
訝し気に見る俺と静まり返った雰囲気を楽しむようにディアナは紅茶を口にした。
「で、何なんだ? 俺だって忙しいんだ」
もったいぶった態度に若干、切れ気味に言い放つ。
「王族たる者、感情任せな態度はどうかと思うわよ。いついかなる時も冷静に。いつも教えられていることではなくて? まだまだ未熟ねえ。修業が足りないわ」
ディアナは余裕綽々といった体で、広げた扇子をエレガントな仕草で仰ぐ。正論を突き付けられて何も言い返すことができず、悔しさでグッと言葉が詰まる。