婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「今日は殿下の執務はございませんし、ここで私たちも休憩に致しましょうか」

「おう。待ってました」

 セバスの言葉にみんなの顔が輝く。早速、エルザたちがお茶の準備に取り掛かった。護衛騎士たちはテーブルや椅子を運んでいる。和気藹々の雰囲気の中、一人取り残されている俺。

「殿下、私たちも一休みしてもよいでしょうか?」

 そう聞いてきたのはセバス。
 テーブルにはクロスが敷かれて、皿やナプキン、カトラリー類もセッティング済み。あとは席に着くだけだ。すでに準備は終わっている。

 休憩する気満々の側近たちにノーと言えるわけはない。突っ立たまま言葉を失っていた俺のことなどお構いなし。

「殿下もどうぞお座りください」

 席に促されて椅子に座った。ボーとしている俺はセバス達から見れば間抜けに見えるかもしれない。頭の中はいろんな考えが浮かんでは消え、ぐちゃぐちゃに乱れている。結果、思考を放棄した。


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