婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 エルザが淹れる香りのよい紅茶の匂いが漂ってくる。大皿に並べられたお菓子が目の前に置かれた。クッキーやマドレーヌ、フィナンシェ、タルトと数種類。
 これを全部ローラが焼いたのだろうか。
 さすがにそれは無理だろうが、あの時のように厨房で楽しそうに料理をするローラの姿が思い浮かんだ。

「どれも美味しそうですねえ」

 取り分けている侍女の声がした。
 他の者たちは大人しくテーブルに着いている。さながら、待てをさせられて尻尾を振っている犬状態。護衛騎士達もこういう時にはおそろしく従順である。

 お菓子と紅茶がテーブルに並んだところでティータイムは始まった。
 テーブルの上にはお菓子を盛った皿。
 ナッツやチョコ、ドライフルーツ、プレーンなものと種類も豊富。
 
 何から食べたらいいか迷うくらいだ。



 
  
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