婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 各々のテーブルでは、ローラ手作りのお菓子をつまみながら歓談が始まっていた。セバスも辺りを目配りした後、腰を下ろしてお茶を堪能している。
 時折、侍女たちの小さな笑い声と護衛騎士達のはしゃぐ声が聞こえてくる。和みに和んだティータイム。

 長閑な光景を遠いもののように感じながら、お菓子に手を伸ばす。

 ピスタチオが入ったクッキー。
 この前、ナッツが好きで特にピスタチオがお気に入りだといったから覚えてくれていたのだろうか。もしかして、ディアナが俺のところに来ると知っていて作ってくれたとか? いや、これはディアナのために用意されたお菓子だと言っていたというか、強調していた。だから、そんなはずは、ないよな。

 俺のためだなんて、まさかね。

 でも……もしかして、
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