婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
ガラス一枚張られているような隔たりを感じる。いつもならみんなでワイワイと楽しくお茶を飲んでるはずなのだが。奇妙な空気感……
温度のない空気に包まれている俺と側近達のわちゃわちゃとした賑やかさとは雲泥の差。
いつもとは違う雰囲気に戸惑いながらも気づかれないように大きく息を吐く。
そんな重い空気を払拭したければ、こちらから何か話題をふればいいのだろうが、今は何も思いつかない。
こんなこともたまにはあるかと自分に言い聞かせて、フィナンシェを食べる。
そういえば、ディアナがこのお菓子の数々はローラからのおすそ分けだと言っていた。ということは今日、ローラに会ったってことだよな。
ここから帰った後にお菓子を作っていたということか。ディアナのやつ、いつローラと会う約束をしていたんだろう? タイミングが良すぎやしないか?
「ところで、殿下」