婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
今日の出来事を反芻しようと考えていた矢先のセバスの声に、せっかくの思考が中断してしまった。
ところで?
なんの脈絡もない言葉に首をひねっていると
「殿下もそろそろ、身を固めてはいかがでしょうか」
静まり返った部屋に響くセバスの声。
みんなの視線が俺に集中する。
身を固める……つまりは結婚しろと。
それは今ここで話すことなのか?
俺の返答を固唾を飲んで見守る体で集中したみんなの視線が痛いんだが。
「いや、それは……」
「我々は今か今かと心を躍らせて待っていたのですが、一向に進展しない様子。このままでは、殿下は一生独身ではないかと心を痛めているのです」