婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「はい。先日はごちそうしていただき、ありがとうございました」
怖気づきそうになりながらも声を絞り出して、なんとかお礼を述べました。
声は多少震えていたかもしれません。それでも精一杯、虚勢を張りながら、笑顔も忘れずに。
「よろしいのよ。とても楽しかったわね。またご一緒したいわ。今度は皆様とどうかしら? もっと楽しくなると思うわ。もちろん、わたくしが招待いたしますわよ」
後ろに控える令嬢達を振り返ると、とんでもないことを言いだしたビビアン様。
私はあの日のことを思い出して、サーと血の気が引いていきます。
公爵令嬢のおもてなしとなれば、全て超一流でしょうし高位貴族からの申し出ですから断る法はないのでしょう。
令嬢達は驚喜を滲ませ期待に胸を膨らませているように見えました。