婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「レイ様、お待たせいたしました。本日は御招待を頂き光栄でございます」
レイ様の待つ部屋へ入るとカーテシーをして挨拶をしました。
「……」
返事がありません。
いつもなら、堅苦しい挨拶はよいからと苦笑交じりの声が聞こえてくるのですが。
しばらく待ってみましたが、それでも何の返答もなかったので不敬とは思いましたが、顔をおそるおそる上げてみました。
大きく目を見開いて驚いているレイ様の姿が目に入りました。身動きできず固まっていらっしゃるよう。
「レイ様?」
呼び声にハッとしたレイ様はやっと気づいてくださったみたい。
レイ様と目が合うとはにかんだ笑顔で頭を掻く仕草。頬がほんのり紅く感じるのは気のせい?
それにつられて私も面映ゆい気持ちになっていきます。