婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 薄明りの中、窓の外を眺めると三日月が浮かび星々が夜空を彩っている。

 心配いりませんわ。

 わたくしのこの美貌、教養をもってすれば、婚約者に選ばれることは自明の理ですものね。
 なぜかフローラの名前が上がっていたようですけれど、相手にはなりませんわね。
 傷物令嬢などレイニー殿下が選ぶわけありませんもの。名前を上げるだけ無駄だというものですわ。

 レイニー殿下。

 成人の儀でお会いして以来、お慕いしておりました。

 一目惚れというのでしょうか? 、

 レイニー殿下を見た瞬間、頭の中にウェディングベルが鳴り、ウェディングドレスを纏ったわたくしの姿がハッキリと浮かんだのよ。
 その時に確信したのですわ。将来、レイニー殿下と結婚するのだと。

 だからこそ、相応しくあろうと知識だけでなくテーブルマナーやダンスに刺繍など、公爵令嬢としてありとあらゆる教養を身につけましたのよ。王族に相応しくあらねばと頑張りましたわ。

 やっと、それが報われるのね。

 数々の縁談を断って待っていた甲斐がありましたわ。

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