婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
次々に子息達がダンスに誘ってきたけれど、丁寧にお断りしたわ。わたくしはレイニー殿下一筋ですから、見境なく誘いを受けるような尻軽とは違います。
わたくしが身も心も捧げるのは殿下だけ。
他の男に指一本だって触らせませんわ。
それに、また殿下に誘われるでしょうから、待っていなくては。
チャンスを逃してはいけない。きっと殿下も他の令嬢とも踊らないと立場上都合が悪いのでしょう。わたくしも心を広く持たなくてはいけないわね。未来の王子妃ですから。
そして、どれくらいの時間が過ぎたのか、待てども待てども、一向にこちらに来る気配はなくて、それでも希望は捨てずに次々と他の令嬢と踊っている姿を見つめて、ジリジリと順番を待った。
令嬢達に断りを入れたのかダンスの輪から外れたと思ったら、きょろきょろと辺りを見回していらっしゃったわ。
ああ、わたくしを探しているのね。
ずっと、この時を待っていましたわ。