婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 いったい、いつの間に、二人は知り合っていたの。

 自分を厳しく律してマナーも語学もその他の教養も一流だと認められるように頑張ってきた。それもひとえに王子妃に相応しくあるように。

 どれだけ、わたくしが努力したのか、フローラ、あなたは知らないでしょう。血の滲むような努力をして築き上げた成果が、これから花開く時だったのに。

 王子と知り合える機会なんてそんなにあるわけではない。

 レイニー殿下は公の場にもほとんど姿は現さなかったから、噂だけが先行していた幻の王子様だった。王太子殿下も第二王子殿下も政略結婚。だから、レイニー殿下もそうだと思っていた。

 いつかは結婚相手として声がかかるだろうと心待ちにしていたのに。

 どんな手管を使ったか知らないけれど、レイニー殿下の懐に入り込みわたくしから奪おうというの。

 許せない。
 

 憎らしい。
 レイ様と呼ぶフローラが。
 隣で当然のように微笑む姿が。

 羨ましくて妬ましくてたまらない。
 持っていた扇子を握りしめるとミシッと音がした。

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