婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

 逃げ出したあの日の会話を覚えて下さったのだと思うと、恥ずかしいやら嬉しいやらで自分の感情が追い付いていかないのですが、何はともあれ失敗しないようにしなければ。

 材料は事前お知らせしているので準備が整っているとは思うのですが、調理器具などは一応持参しようかしらとかレシピも数枚用意してシェフ達と一緒に作ろうかしらとか、段取りを考えている最中にもレイ様の笑顔が浮かんできます。

 自然と顔が綻んでワクワクと心が弾んできて、早くも明日へと思いを馳せている自分がいました。

 祝賀会の出来事を忘れているわけではありませんが、それよりも何よりもレイ様に会いたい。
 そんな私は浅ましいのでしょうか?

 レイ様が好き。

 この気持ちに嘘はないけれど、いつかは、もしくは近い将来、終止符を打たなければいけない時が来るかもしれない。だから、その時まではレイ様を好きでいさせてくださいと私はあの日の星空に祈ったのです。

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