婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「申し訳ございません。挨拶が遅れまして」

「いいのよ。放課後の停車場でこの雑踏の中ですもの。聞こえないこともありますわ。ところで、お時間を下さらないかしら」

 寛容な態度で理解を示すビビアン様ですが、最後の言葉にサーと血の気が引きました。

「そんなに手間は取らせませんわ。少しの間だけ、よろしいでしょ」

 断る選択肢は元からありません。
 青褪めた顔を無様に晒した私はなんてみっともないのでしょう。頼りになるはずのディアナがいないまま、私はビビアン様の後をついて行きました。

 連れてこられたのは人影のない校舎裏。

 ざわざわと木々の葉がこすれた音が聞こえ、太陽が雲に隠れたり出たりして空の様相が変化していきます。

 今から、何が始まるのでしょう。悪い予感しかしません。


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