婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「祝賀会。とても楽しかったですわね」
とびきりの笑顔で微笑むビビアン様にあの日の憎しみに燃えた表情が重なります。
「は、い」
掠れた声でやっと返事をしました。
「フローラ様も楽しかったのね。それはよかったですわ」
にこやかに微笑むビビアン様はとても美しくて、間違いようのない整った美貌の持ち主です。けれど、その美しさが逆に人間らしさのない無機質なものに見えてしまいます。
「ところで、あのあとどうなさいましたの?」
「あ、あのあと……とは?」
恐ろしさで心臓がバクバクと音を立てています。あのあとと聞かれても、恐怖に支配された頭では考えることが出来ません。
「とぼけて……わたくしが帰った後ですわよ。そのくらい察しなさいな。鈍い人ね」
「……ホールに戻りました」
「本当に? ウソではありませんわよね?」
私はこくこくと頷きました。
もしかして、レイ様とずっと一緒だと思われたのでしょうか?
ジーと顔を探るような目つきで眺めまわすビビアン様。