婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
怖い。
腰が砕けそうになるのを必死にこらえながら、全身に力を込めました。
怖いけれど、負けてはダメよ。自分で叱咤激励してなんとか気持ちを奮い立たせます。そうしないと彼女に飲み込まれてしまう。
「まあ、いいでしょう。その言葉、信じますわ。それにしても、いつの間にレイニー殿下と親しくなっていたのかしら。教えて頂けるかしら?」
えっ……。
レイ様との出会いを聞きたいのですか? 聞いてどうするのでしょう。
「それは……」
「わたくしには教えて頂けないの? わたくしたちお友達でしょう? 友達の恋バナって興味ありますわ。聞いてみたいと思うのは当然でしょう」
恋バナって私とレイ様の事? 私の片思いの話を聞きたいのでしょうか。
探るように見つめるビビアン様はおもむろに扇子を取り出すと頬へと当てました。肌に伝うひんやりとした感触。閉じた扇子が鈍色に光っています。