婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「そういえば、リリアの侯爵夫人教育は上手くいっているんですか?」
「うーん。苦労しているみたいだったな」
「そうなんですか」
うちでも手を焼いたのだから、侯爵家はもっと無理かもしれない。男爵家と侯爵家では格が違う。簡単なマナーや教養ですませられるような身分ではないからな。
「マナー教師などつけなかったのかと言われたが、無理だったと言っておいた」
「その通りですからね。嘘は通用しないでしょうし、見ればすぐわかりますからね」
「テンネル侯爵夫人も講師を雇って教育してくれているようだが、なんにせよ本人のやる気がないようでは、救いようもないな」
呆れたように頭を小さく振って落胆する父上に、俺もため息が出た。
困ったものだな。
ブルーバーグ侯爵家のリヴェール商会との取引もうまくいき、順風満帆といってもいいくらいに仕事も順調なのだが、唯一の頭痛の種がリリアだった。