婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「それでは、申し訳なくて」

「フローラちゃん、気楽に考えてもらっていいのよ。正規雇用ではないし、あくまでも臨時。だから、そんなに思いつめることなんてないの。あと、正規だったとしても、事情があればそれも考慮してカリキュラムだって組んでもらうわ。わたくしだって、鬼ではないのよ。安心してちょうだい」

 教師の状況を加味して対応する。
 そこまで言われてしまっては何も言えません。
 
「それに、リチャードがとても楽しみにしているのよ。フローラちゃんに会うのを。だから、もう少しつきあってくれないかしら?」

 部屋に入ってきたときのリッキー様の喜ぶ姿が思い出されました。
 教師失格だと思っていたけれど、こんな私だけれど、リッキー様に必要とされているのなら、まだ頑張ってもいいのかもしれません。

 自信をなくしかけた私に一筋の光明が見えたような気がしました。

「はい。ありがとうございます。こんな私でよろしければ今後ともお願いいたします」

「よかったわ」

 私の前向きな返事に安堵の息をついたアンジェラ様。
 適任者は他にもいるかもしれないけれど、せっかくご縁を頂いたお役は全うしたかったから、切られなくてよかったわ。

 あの日のビビアン様の言葉に囚われている自分がいて、なんでも悲観的な気持ちになってしまう。


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