婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 準備が整ってレイ様の部屋の前へと案内されました。

 お会いするのは祝賀会以来。

 バクバクと大きな心臓の音がうるさいくらいに耳に響いてきます。部屋に入るだけで緊張するのは、レイ様に会うのが怖いから。こうやって部屋に招いてくださるのも今日限りかもしれません。

 レイ様はこの国の王子です。

 独り占めしているとは思いませんが、良くして頂いていることを当たり前だと思ってはいけない。
 レイ様は誰でも選べる立場。
 好きだからといって報われるとは限らない。報われることを望んではいけない。

 何日もベッドの中で考えました。

 何度考えても同じところをぐるぐると回るだけで、希望を見出すことはできませんでした。
 だって、レイ様が私のことを好きだとは思えなかったから。好きになってもらえる要素などどこにもないもの。

< 379 / 835 >

この作品をシェア

pagetop