婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
準備が整ってレイ様の部屋の前へと案内されました。
お会いするのは祝賀会以来。
バクバクと大きな心臓の音がうるさいくらいに耳に響いてきます。部屋に入るだけで緊張するのは、レイ様に会うのが怖いから。こうやって部屋に招いてくださるのも今日限りかもしれません。
レイ様はこの国の王子です。
独り占めしているとは思いませんが、良くして頂いていることを当たり前だと思ってはいけない。
レイ様は誰でも選べる立場。
好きだからといって報われるとは限らない。報われることを望んではいけない。
何日もベッドの中で考えました。
何度考えても同じところをぐるぐると回るだけで、希望を見出すことはできませんでした。
だって、レイ様が私のことを好きだとは思えなかったから。好きになってもらえる要素などどこにもないもの。