婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

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「体はもう大丈夫?」

 レイ様の腕に手を添えて庭園をゆっくりと散策していると気遣ってくださいます。
 
「はい、すっかりよくなりました。ご心配かけて申し訳ありません。それから、お見舞いの品をありがとうございました」

「たいしたものでなくてごめんね。何がいいかわからなくて……先日のハンカチを思い出して、お礼も兼ねてそれにしたんだ」

「百合の刺繍がまるでお手紙をいただいた時のようで、とても元気づけられました。ありがとうございました」

 サリーが『ハンカチの色がお嬢様の瞳の色と同じですね』って言っていたわ。たまたまだったのかもしれないから、都合のいい夢は見たらいけない、そう思いつつも深読みすれば、私の瞳に映る百合を模したものなのかしら? なんて想像してみたりして……ありえないことを、勝手に自己満足な夢を見ていました。

 それが精神的な支えでした。

 百合は私にとってとても大事な花になりました。

 プレゼントされたハンカチは今も箱の中。
 とてもじゃないけど使えないわ。

 部屋の棚に大切に飾って毎日眺めています。


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