婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 じっと動かない私に不思議そうに聞かれました。


 レイ様には私の気持ちはわからないでしょう。

 見つめる瞳にドキドキしていることも少し低音の柔らかい声に聞き惚れていることも、子供のような好奇心をのぞかせる時も、私に向ける優しい笑顔も、レイ様の何もかもが好きな事をレイ様は知らないでしょう。


「とてもきれいなケーキだったので、つい見入ってしまいました」

 嘘ではありません。宮のお抱えパティシエだけあって見事なお菓子です。シェフもそうですが、できれば弟子入りしたいくらいです。
「ローラが褒めていると知ったらパティシエも喜ぶよ」

「シェフの皆さんにもお礼を伝えて頂けたら、とても美味しい料理の数々でしたから。胃に負担をかけないようなメニューを考えて下さったのでしょう? ありがとうございました」

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