婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「そうですが……」

「ローラの体調が万全になってからでいいんだ。作って欲しい。どう?」

「……」

「ダメ?」

 小首をかしげて上目遣いでこちらの出方を窺うような表情にきゅんと胸が締めつけられる。時折見せる弱気な態度にときめいてしまう。
 
「ダメではないですけれど、私でいいのですか?」

 つい、聞いてしまいます。

 これ以上、そばにいてもいいのかしら? レイ様にご迷惑ではないのかしら?
 自分から身を引くのも大事な事。ふと浮かんできた言葉に心が凍ります。
 
「ローラがいいんだ。ローラが作ったお菓子が食べたい」

 レイ様は優しい方だから、そういってくださるのね。

「ありがとうございます。いつか機会があれば……」

 ちょっと言葉を濁してみたら、伝わるかしら。
「うん。楽しみにしてる。まずは体の回復優先でいいからね」

 私はこくんと頷きました。

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