婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「ほら、そんなに動いたら抱きしめられないよ。じっとしてて」
クスクスと笑いが漏れて甘い声が降ってきます。耳元で囁かれると何かがせりあがってくるような未知の感覚が私を襲いました。でもそれは嫌な感覚ではなくて、むしろ心地よいような気がして、不思議な気持ちになります。
「うん。いい子だね」
言う通りにピタリと動きを止めた私をご褒美とばかりに頭を何度か撫でるレイ様。小さい子供のような扱いにホッとするような寂しいような……
そろそろ夕闇が近づいてきました。刻々と時間は過ぎていきます。
「ローラ」
甘美な雰囲気に酔っていた私の耳元でシリアスな声に現実に引き戻されました。
「俺はローラが好きだ。愛している。だから、俺と結婚してほしい」