婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「……」

 い、今。何を言われたのか。
 好き? 結婚? 微かに耳を掠めていった言葉。
 すぐには理解できなくて……


「ローラ?」

 返事もできなくて固まってしまった私から身を離したレイ様。ゆっくりと交わる視線。

「あの……よく、聞こえなくて……」

 きっと、聞き間違い。そんなこと、結婚って……

「もう一度言うから、よく聞いてて」

 私は頷くと聞き逃してはいけないとレイ様をジッと見つめました。

「俺はローラ、君を愛している。俺と結婚してくれないか。俺の妃になった欲しいんだ」

 私の手を取るとレイ様の顔が近づいてきて、指先にチュッと口づけを落とされました。冷たくなった指先がほんのりと熱を帯びます。

 聞き間違えではなかったのね。

 愛している。

 結婚。

 現実味のない言葉。

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