婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 突然のプロポーズにどう返事をしたらいいのか。

 レイ様への思いと結婚はイコールなのか、軽々しく受けていいものなのか。瞬時に駆け巡る色々な思考。

 私の返事を待つレイ様の不安そうに揺れる瞳から目を逸らして俯きました。

 傷物令嬢……分不相応……
 みっともない……

 次々に浮かんでくるのは、ビビアン様の言葉の数々。

『レイニー殿下もお気の毒ね。ガーデンパーティーで知り合ったばかりに、こんな地味で冴えない令嬢の相手をしなければならないなんて。いい加減、うんざりしていらっしゃるのではないかしらねぇ』

『解放して差し上げたらいかがかしら』

 わかっている。わかっているわ。自分のことなど痛いほどわかっている。

「返事を聞かせてほしい」

 レイ様の真摯な眼差し。快活に笑う表情。私を呼ぶ声。抱きしめられた時の温もり。
 私に与えられたすべてのものが愛おしい。

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