婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「そろそろ、離して頂いてもよろしいでしょうか」
自分でも驚くぐらいの冷淡な声音。
青褪めた悲愴な表情のレイ様を見るのはつらい。
何が正解なのかはわからない、本当にこれでよかったのかなんてわからない。
けれど、一度口にした言葉は取り消せない。
肩を掴んでいた手から力が抜けて、あっさりとレイ様から解放されました。
なくなった温もりに寂しさを覚える自分がおかしくて、私から手を離したのに。
「今まで優しくして頂いてありがとうございました」
悲しみを湛えた瞳で茫然と私を見上げるレイ様に、これ以上はないくらいのカーテシーをしてその場を去りました。