婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
『結婚してほしい』
その言葉が今もリフレインしている。
あの日のレイ様の真剣な顔が思い浮かんできます。
好きだと言われて、嬉しかった。レイ様も同じ気持ちだったと聞いて嬉しかったの。
けれど……
自信が持てなかった。
レイ様は第三王子殿下。選べる立場。
私よりも相応しい方がいるわ。地味で冴えない私よりも相応しい令嬢は他にいるでしょう。
驚愕に開かれた目と絶望に青ざめた表情が頭から離れない。
傷物だと地味で冴えないなどとさんざん言われて、どこにも身の置き場がなくて、自信なんてなくて、どうしたらよかったのかわからない。
レイ様はこんな私のどこがよかったのかしら?
小さく溜息をつくとカップに手を伸ばして紅茶を飲みました。
どんなに考えたところで答えは見いだせない。ただ、レイ様を好きな気持ちは消えてはくれない。時がたてば少しは薄れるかもと思ったのに……思いは募るばかり……