婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「殿下、当たって砕けろですよ。一度や二度振られたからって、すぐに諦めるようでは難攻不落の城は落とせませんから」
励ましたいのか、からかっているのか、それとも両方なのかダンの声がした。
「砕けたら、ダメだし。二度は振られていないし、ローラは城ではない」
シラリとした目で睨んで思わずツッコミを入れる。
「いやだなあ。そのくらいの気持ちで挑めってことですよ」
ダンの隣でしたり顔でうんうんと大きく頷いているアルとジャック。セバスとクリスは銀製品を拭いていた手を止めて、賛成とばかりに小さく拍手をしている。
気持ちは分かるが……側近達の態度に若干身を引いた。
「まさか、殿下が振られるとは思いませんでしたが」
痛いところを突く。俺だって、振られたくなかったし、了承してくれると思っていた。
その、まさかだった。