婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
揺れ動く気持ち
「フローラ、卒業後はどうするつもりだね」
休日の午後、居間で家族団らん中にお父様に尋ねられました。
最終学年である私はあと数ヶ月で卒業を迎えます。以前なら結婚することが決まっていたので、考えることはなかったのかもしれません。
今は、婚約者もいない、結婚の予定もありませんから、身の振り方を考えなくてはいけないのでしょう。
一瞬、レイ様が思い浮かびましたが、頭から振り払いました。私からお断りしたのに、心の内に思いを秘めることさえ烏滸がましいことでしょう。
「出来れば、このまま研究を続けたいと思います。ダメでしょうか?」
「ダメではないよ。フローラの思うようにしたらいい」
お父様の言葉にホッと胸を撫で下ろしました。お父様の隣ではお母様が微笑んでいます。
卒業すれば研究にもっと時間を費やせるし、文献なども読む時間が増えます。人の役に立ちたいと思う気持ちは変わりませんから、両親が賛成してくれるのはとてもありがたいことです。