婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「お父様、お母様。ありがとうございます」
両親の愛情に包まれて胸が熱くなります。泣きたくなるのをこらえて笑顔を向けました。
私の思うままの気持ちを汲み取って協力してくれる両親に頭が上がりません。
「結婚、とかはいいのですか?」
恐る恐る尋ねました。
貴族の令嬢として生まれたならば、政略だろうと結婚は必須。当たり前の事です。親に決められても文句は言えません。
「結婚したいのかい? もしかして誰か相手がいるのかい?」
お父様が目を見開いて驚いたような問いかけに
「い、いえ……そういうわけでは……」
私はあたふたと否定しながら頭を左右に振ります。語尾はごにょごにょと濁してしまいましたが。自分で話を出したとはいえ、顔が微かに熱を持ったのがわかりました。