婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
誰もいない二人だけの空間。
パラパラとページをめくる音が微かに聞こえます。
会話はないけれど、同じ時を過ごす贅沢な時間。それだけで自分の心が満たされているように感じました。
五冊ほど良さそうな本を選び出し、残りの本を書架に返して閲覧室へ戻ってくると、ゴトッと物音がしました。
静寂な室内に殊の外大きく響いて、音のした方に目を向けると本が床に落ちていました。
いつの間にか寝てしまったのか、ソファに横たえたレイ様。
睡魔に襲われ力の抜けた手から本が零れ落ちてしまったのでしょう。
私は本を拾い上げてテーブルの上に置きました。
日が傾き始めたのか深く差し込んだ日差しを浴びてレイ様は眠っています。
暖かいとはいえ、こんなところでうたた寝をしていたら風邪をひいてしまうかもしれません。