婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「ああ、いいと思うがな。ロジアム侯爵家は歴史も古い名門の裕福な貴族。侯爵も大臣を務めるほどの名士。家柄的には何の問題もない。わしとしてはこの縁談を進めていきたいのだが、どうだろうか」

 何の問題もない?
 
 大ありだわ。

 わたくしが血の滲むような努力をして身につけた様々な教養は、侯爵家の三男に嫁ぐためのものではない。
 嫡男ならいざ知らず、なんで三男なんかと。
 わたくしの努力が水の泡になるのかと思うと眩暈がしてくる。
 
「わたくしは嫌です」

 キッパリと言い切った。

 困惑したようにわたくしを見つめたお父様の顔がにわかに曇る。お母様も目を開いて驚いている。二人共、快く了承すると思っていたのかもしれない。

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