婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「わたくしにはありませんわ」
「ふう……」
お父様は頑なに拒むわたくしに困り果てたように息を吐いた。
こんなに抵抗されるとは思わなかったのかもしれない。
でも、わたくしにだって夢があるわ。
愛する方がいるのに別の男に嫁げなどと言われて、はいそうですかと頷けるものではない。それが貴族の結婚だと言われても。
「ビビアン、ここは聞き分けてくれないか? そなたの意思を無視して無理やりに婚約を結ぶことだってできる。でもそうしないのはそなたのことを思うからだ」
「ビビアン。わたくしもいいお話だと思うのよ。ユージーン殿下は王籍を抜けるけれど、王族の血を引く高貴なお方なのには変わりはないわ。その殿下の親友で将来の幹部候補なのだから、王族ともつながりはできるわ。どうかしら?」
お母様まで、お父様の味方なのね。
二人でレイニー殿下とお似合いだと手放しで何度も褒めていたのに、それはどこにいったのかしら? わたくしでは王族に嫁するには不足だとでも思っていらっしゃる?