婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「お父様もお母様もわたくしに相応しいのは、レイニー殿下だとおっしゃっていたわ」
「レイニー殿下? そなたは殿下と結婚したかったのか?」
心底、驚いたという顔をしたお父様。
祝賀会のあと、馬車の中でちょっと匂わせてはいたものの、本気だとは思っていなかったという表情。お母様も同じ。
「いえ、そういうわけでは……でも、身分に相応しいと言えば、やはり……」
両親の意外な反応に言葉を濁してしまった。
親は王子妃を望んでいても、娘は思惑など関係ない無欲な令嬢だとでも思っていたのかしら。
「確かに身分で言えば王族との結婚は相応しいと思う。それにビビアンは品格も教養も持ち合わせている。王子妃として何の遜色もない。わしらも望んでいなかったかといえば嘘になる。しかし、それでも叶わぬ事はあるのだよ」
「叶わぬとは?」
嫌な予感しかない。
お父様は苦渋の色を滲ませてわたくしを見つめている。