婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「けれども、まだ決定したわけではないのでしょう?」

 なりふり構っていられない。

 お父様を困らせたいわけではないけれど、どうにかできないかと懇願してみる。

 相手がフローラだったとしたら、まだチャンスがあるのではないかしら。
 傷物令嬢ですもの。
 わたくしとどちらが相応しいかと言えば、一目瞭然のはず。お父様だって大臣。味方だっているはずだわ。重鎮達の協力があれば覆せるのではないかしら。

「レイニー殿下は第三王子。王太子殿下ほどの重要な立場ではないからな。本人に任せているともおっしゃっていた。名前が明かされたらよほどでない限り、議会でも承認されるだろう」

「……」

 なんて、無力な……
 膝の上で扇子を握りしめる。


< 464 / 835 >

この作品をシェア

pagetop