婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「そうそう、今日のお茶会はね、有名な楽団を呼んでの演奏会だったのよ。それでね」
シェードで日差しを程よく遮ったサンルーム。
お母様が楽しそうに話をしているけれどわたくしの耳には入ってこない。
昨日の今日。
気まずい思いをして部屋を去ったというのに、お母様は学園から帰ってくるなり、わたくしをお茶に誘った。
正直会いたくなかったけれど、断って事態が悪化するのも忍びない。仕方なくつき合うことにした。
いつもはお茶会の話と聞けば、自分の参考になることはないかと真剣に聞くのだけれど、今日はそんな気力もない。不機嫌な顔もできないので、適当に相槌を打って話を聞き流していた。
「そういえば、今日のお茶会で騎士団の話が出てね」
騎士団。わたくしの頬がピクリと引きつった。