婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「ビビアンたら、そんな噂、どこから聞いてくるの? でも、そういう噂のある中でも真面目な方ということが知れてよかったと思うわよ? そんな方なら結婚しても妻一筋に大切にしてくれるのではないかしらね」
なにを言わんとしているか察したのか、口元を引きつらせながらお母様が言った。
「そうですね」
顔色を変えず棒読みで二口目の紅茶を飲んだ。
言いたいことはわかるけれど、心にちっとも響いてこない。
「ねえ、ビビアン。三男というのは失礼じゃないかしら。名前を呼んであげた方がいいのではなくて?」
「三男は三男。嫡男ではないでしょう。それに本人に言ってるわけではないのですから、ここだけの話ということで許して頂けないでしょうか?」
「それは、そうだけれど……」
軟化するどころか硬化するわたくしの態度に、お母様は困り果てた様子で口をつぐんだ。
最近お気に入りのピスタチオのマカロンをつまむ。