婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
部屋に帰ると一気に力が抜けて一人がけのソファにどさりと体重を預けた。深く沈み込んだソファの肘掛けに肘をつくと額に手を当てる。
「なぜこんなことに……」
昨日の出来事で天国から地獄に落ちた気分。
祝賀会の両親のあの浮かれようを思い出して、苦々しく唇を噛みしめる。
あんなにお似合いだと、わたくししかレイニー殿下のお相手はいないなどと散々上げておきながら、昨日のあの仕打ち。両親の言葉を真に受けて、その気になっていたわたくしがバカみたいじゃないの。
わたくしは愚かだった。
レイニー殿下の結婚は既定路線で時期が来れば、王家から話が来るものだと思っていた。でも違ったのね。待つばかりではダメだったのだわ。
わたくしも積極的に動くべきだった。そうすれば、フローラのように偶然でもレイニー殿下と出会えたかもしれない。同じ場所にいたのに、わたくしは出会えなかった。