婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
しばらくすると、何も言わず部屋を出て行ったエマがワゴンを引いて入ってきた。
お茶の準備が終わるとテーブルに湯気の立ったミルクティーが置かれる。ミルクのほんのり甘い香りが、ささくれ立ったわたくしの心を少しだけ癒してくれた。
心を落ち着けるために、いつもより時間をかけてミルクティーを味合う。その間エマはそば近くで控えていた。
「エマ。わたくし、結婚が決まったの。あなたもついてきてくれるかしら?」
飲み終わったカップをソーサーに戻すとエマに話しかける。
「おめでとうございます。もちろんです。お嬢様のためならどこへでもお供いたします」
喜びの声を上げたエマの表情は明るい。
「嬉しいわ。相手はロジアム侯爵家の三男なのよ」
笑みを浮かべて答えるとエマの顔が困惑の色に変わる。