婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
波乱のあとで
「ねえ、ディアナ。さっきおかしなことを言っていなかった?」
課題がひと段落した頃合いで気になった事を聞いてみました。そこそこ賑わいをみせていたサロンも人がまばらになってきています。
「おかしなこと?」
ビビアン様が去ったあとのサロンの席で、ディアナが首をひねって真剣に考えています。
「ないわね」
思い至るところはないときっぱりと言い切るディアナに肩を落とす私。
曖昧な言い方では伝わらないみたいだわ。
「あのね。私の結婚のことだけれど、何も決まっていないのよ。お相手なんていないのに、ビビアン様に嘘を言ったらいけないと思うわ。しかも高貴な方とかなんとか……」
高貴な方って、一人しか思い浮かばない。
言っている自分が恥ずかしくなって、段々と声が小さくなってしまいました。