婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「出来るだけ、暖かくしてた方がいいと思うよ。夜明け前は冷え込むからね」

 昨日のことを思い出しているとレイ様の優しい声がして、ふわっと肩に何かが触れました。目にしたそれは、柔らかそうなショールでした。

 しかも大判でレイ様も同じものというか……一枚物で私たちを包んでいる格好です。

 どこから出てきたのでしょう? レイ様、持っていませんでしたよね? 

 今朝のお供は護衛騎士だけ。
 となると、出所は一つしか思い浮かばないのですが、ここで振り向いたら負けのような気がします。確認を取るのはやめましょう。

「ほら、こうすれば暖かいよね」

 私の心の葛藤など知らないレイ様は、ササッと距離を詰めてきます。肩がぴったりと触れ合うとショールをかけ直して二人でくるまりました。

 ちょっと、大袈裟な感じがするのですけど。ショールがなくても十分に温かいのですけど。

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