婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「ビビアン及びエマ、お呼びによりただいま参りました。遅くなりまして申し訳ございません」

 扉が閉まるとカーテシーをして挨拶をする。

「ビビアン。椅子に座りなさい」

 お父様の声に顔を上げると目に映ったのは、扉の前にいた騎士達と同じ服装をした騎士が三人。

 年上の一人が前に立ち、若い二人は後ろに控えている。直立不動でわたくしたちを見ていた。

 精悍な中にも清廉で厳格さを纏った騎士達の他には誰もいない。テーブルについているのは両親だけ。

 来客とはいったい?
 
 言われた通りに座るとエマはわたくしの後ろについた。

 お父様もお母様も沈黙したまま暗い顔をしている。見るからにいい話ではなさそうだった。
 騎士達は椅子に座ることもなく立っている。

 これから何が起こるのか、皆目見当がつかない。

 そういえば、お茶一つ出ていないわ。わたくしも席に着いたのにお茶の準備でメイド達が入ってくる気配もない。
 お父様の後ろの壁にヨハンが控えているだけ。

 彼らが何者なのか紹介さえないのかしら? 挨拶一つないわ。

 騎士達の無表情で無言の圧は重々しく、異様な空気が漂う。

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