婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「ああ。そなたが一番そばにいたのだから、最近のエマの言動におかしな点とか不審な点とか気づくところとかなかったのか?」
「そんなのあるわけありませんわ。エマはずっと変わらず、いつものエマでしたわ」
そうよ。わたくしの世話に献身的で忠実なわたくしのメイド。
わたくしの話を熱心に聞いてくれて、笑ってくれたり悲しんでくれたり、時には怒ってくれる。そんな心優しい人。
わたくしの話? まさか、そんなはずはないわよね。
「そうか……」
落胆したのかホッとしたのか、複雑な表情で嘆息したお父様。お母様は口を引き結んでテーブルを見つめていた。