婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「なに。うちのメイドが誘拐事件にかかわるなどとそんな大それたことをするはずはない。すぐに容疑が晴れて釈放されるだろう。二、三日もすればエマも帰ってくるだろうから、ビビアンもあまり力を落とさないようにな」

 わたくしの肩をポンポンと軽く叩いたお父様は明るい口調で元気づけてくれた。

 そうよね。お父様の言う通り。

 何かの間違いよ。きっと、人違いなのよ。

 そうよ、すぐに帰ってくる。
 その時は温かく迎えてゆっくりと休ませてあげるわ。

 エマの笑顔を思い出しながら、訪れてほしいその日を想像する。

 言い知れぬ不安に押しつぶされそうになる気持ちを奮い立たせて、わたくしは無実である可能性に追い縋った。


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