婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

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 二、三日で帰ってくるだろうとのお父様の言葉に安心して気楽に考えていた。

 間違いだったとしても外聞が悪いので、邸の使用人達にも緘口令を敷き外部に漏れないように配慮している。

 学園にも通い帰宅後、習慣化したお母様とのお茶会。

 そこで美容法や夫人の心得、社交術など様々な教示を受けていたのだけれど、三日を過ぎると話のトーンも落ちてくる。
 今までは適当に相槌を打っていたけれど、正直鬱陶しくて聞くのもイヤになっていたのよ。

 わたくしよりも張り切って結婚準備に勤しんでいたのに、今は滞っている状態。ドレスの仮縫い待ちという理由で。

 やることは他にもあるのに。ただでさえ、招待客も多くて結婚式まで時間がないのに間に合うのかしら。
 心配になってしまったわ。決して結婚を望んでいるわけではないのに。

 不思議なもので、いつもの日常が崩れると煩わしかったことがだんだん恋しくなってくる。

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