婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

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 十日経った頃。

「先程、呼び出しがあってね。お父様は登城しているわ」

 学園から帰ってくるとお母様が玄関で待っていて、開口一番にわたくしに告げた。
 今日はお父様はお休みだったのに呼び出されたのね。きっと、エマの件よね。

「もう少ししたら、エマを連れて帰ってくるわね。よかったわ」

 久しぶりに見たお母様のにこやかな笑顔。

「ええ。わたくしも嬉しいですわ」

 二人で微笑み合うと紅茶を飲んだ。

 美味しいと感じたのは久しぶりだわ。
 一緒に出されたケーキが美味しそうに輝いて見える。
 ケーキに手を伸ばして頂くとこれまた美味しい。ケーキって甘かったのね。
 味覚を取り戻したわたくしはぺろりとケーキを平らげてしまった。

 そんなわたくしを見てお母様が「子供みたいね」ってコロコロと笑っていた。
 淑女らしからぬふるまいではあったけれど、叱られることはなかったわ。それよりも喜びが勝っていたから。

 
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