婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
目を見てってとてもじゃないけれどできるはずがないわ。
「ほら、ローラ。一言言うだけ。簡単だよ」
簡単だなんて……
くくっと喉を鳴らして笑うレイ様を軽く睨みました。
「じゃあ、俺が代わりに言ってあげようか? ローラは忘れているみたいだしね」
えっ? 代わりにって?
「レイ様がす……」
「キャー」
イヤー。
恥ずかしい。
私はとっさにそばにあったクッションを頭にかぶってソファに突っ伏しました。
聞きたくないわ。レイ様のいじわる。
「ローラ。ちょっとひどくない?」
「だって、レイ様が……」
「俺? 俺は何もしてないよ。それとも、あの時の言葉は嘘だった?」
ちょっと悲しそうな声が頭上に降ってきました。
嘘ではない。ないけれど。
今頃の羞恥プレイに身の置き所がなくて、真剣だったとはいえ思い出すと恥ずかしくて。
「レイ様?」
ふと遠ざかる気配にゆるゆると顔を上げると肩を落としているレイ様の姿が目に映りました。